老化防止ゲーム

 大学に入って3年と少し、確実に、高校時代よりも脳の機能が衰えているのを感じる。
 大学内で何かしらの学生団体を創設し、運営に日々尽力していたり、研究者を目指して、1日15時間は机に向かい、僕には宇宙語にしか見えない数式と毎日格闘していたり、そんな人達の場合は、頭の働きが鈍くなるようなことはないのだと思う。しかし、僕のように、自ら更新せずとも勝手にやってくる新しい日々を、闘牛士のようにヒラヒラやり過ごしてきたタイプの人間は、これと言って能動的に知能を使うことがないので、どうしても大脳新皮質が錆ついて頭が悪くなってしまう。物覚えが悪くなったり、テスト前にたまに勉強しても、公式の意味する所を理解できなかったり、日常生活に様々な支障が起きてしまうのである。

 そこで、そんな脳の衰退を防ぐべく、僕は画期的で楽しいゲームを(うんこをしているときに)考えついた。名付けて…と言おうとしたけれど、こういうネーミングの場面で気のきいた名付けができた試しがないので、あえて名前は付けないでおく。

 ゲームのルールは簡単である。何でもいいから、ある単語をお題として出してもらって、それを「修飾語+名詞」の形にして、別の言い方で表現するのだ。例を挙げるとこうである。

 (例) リンゴ ⇒ 赤い、果物     
     枕 ⇒ 寝るための、クッション

 こんな具合である。分かりやすくするために簡単な例をあげたが、できれば、もっとひねりの利いた言い回しができる方が望ましい。例えば、

 (例) リンゴ ⇒ 青森の、名物
     枕 ⇒ 加齢臭のする、寝具

 こんな感じだ。しかし、気の利いた事を言おうとし過ぎて、お題を出されてから「うーん…」となってしまってはいけない。脳の老化防止のためのゲームなんだから。遅くとも5秒以内には応えるのが理想だ。
 簡単そうに見えて、やってみると以外に難しいと思う。僕も今日の日中、つまらない授業の最中や、うんこをしているときに(僕は1日3回くらいうんこに行く)自分の頭の中で色々やってみたけれど、垢で詰まりに詰まった思考の管に少しずつ水を流して、垢がこそぎ落とされていくのを、そのつど感じるのである。
 
 
 さぁ、これを読んだ皆さんは、さっそく明日から学校や職場でこのゲームをプレイして、将来は頭の切れるナイスミドルになれるように、脳に刺激を与えよう!


 (参考例集)
 ラーメン ⇒ 麺類界の、麻薬
 二千円札 ⇒ 大規模な、企画倒れ
 シャツ ⇒ 痩せ我慢して着る、夏服
 ゴキブリ ⇒ 虫ではない、何か
 GLAY ⇒ ここではない、どこか
 いなり ⇒ 中盤で食べると存外においしい、寿司
 えなり ⇒ 渡る、世間