あまり大きな声では言いにくいのですが

 
 喫煙家のうちの大部分の人達って、灰皿さえあればどんな状況でも煙草を吸いますよね。1人でいるときに限らず、たとえば友達数人と居酒屋で談笑している時でも、何の躊躇もなく吸う人が多いと思います。

 確かに、禁煙指定されている場所でない限り、喫煙家は明文化されたルールによって喫煙を禁止されたわけではないですから、煙草を吸う権利というものは持っていますよね。それは理解できます。

 でも僕がちょっと附に落ちないのは、数人で談笑しているときに、メンバーの中に明らかに非喫煙家がいる状況でも、スモーカーは何のことわりもなく当たり前のように吸い始めること。「灰皿がある=煙草を吸う権利がある」というだけの理由で。
 非喫煙家の大部分にとっては、当たり前だけど煙草の煙は不快なものに過ぎないわけで、もっと言えば健康にも良くないし、煙を吸い込むことに本気で抵抗のある人もいます。それらの事実はゆるぎなく存在しています。そしてその事実を喫煙家は認識していないわけがない。にも関わらず彼らは何のためらいもなく、皆がいる席で平気でプカプカやり始める。

 そんな喫煙家の人達を責めようとか、あんまりそういう主旨のことを書きたいわけではないんです。僕個人はそこまで煙の匂いが嫌いなわけでもないし(流石に自分の部屋では吸わせませんけど)、煙自体を不快だとはあまり思いません。ただ純粋にこの風潮が「奇妙」だと思うのです。
 
 喫煙家の人達が、普段から他人に横柄で傲慢な振る舞い方をしていて、自分の権利ばかりを主張している人達なら、僕も合点がいくんです。でも、必ずしも、というかほとんどの場合そうじゃない。彼らの大部分は、普段は非喫煙家と同じように、思いやりのあって、優しくて、分別のある振る舞い方をする人達です。集団の中で、周りの人達と折り合いを付けながら協調している人達です。
 それなのに、こと煙草のこととなると、周囲に明らかに与える実害のことはバッサリとスルーして、悠然と自分の権利だけを行使し、何食わぬ顔で「煙を不快に思う人達」に煙を浴びせる。そしてそれを悪びれる素振りも一切見せぬまま、笑顔で会話に参加する。これって本当に奇妙じゃないですか?
 
 
 実際、「そこまで深く考えてないけど、何となく吸ってもいいような風潮があるし、吸ってる」って人がほとんどなのでしょうか。「いや、それについては、俺には俺なりの哲学があるんだぜ」っていうスモーカーもいるんですかね。

 
 正直僕は、目の前で堂々と吸われると、「こういうのはね、ケムたいと思ったって、普通は指摘しないものなの。わかってるよね?」と無言の圧迫を受けているみたいで、ちょっと怖いです。